Keep running, Run faster.

毎日コツコツ、走ってます。山とか、街とか、トラックとか

2018 草津スパトレイル〜前日〜

僕にとって今までの最長のレースは2017年白馬国際トレイルだった。

ロングコースだったので、距離は50キロであったが、今回はそれを上回る72キロ。

ゴール後、自分がいったいどうなっているのか、うまく想像できなかった。今年の4月には富士五湖ウルトラマラソン100キロを完走し、距離の不安もある程度は払拭された。「100キロを走りきったのだから、72キロなんてたいしたことないだろう。」と。でも、レースが近づくにつれてやはり日に日に不安は募っていった。

 

一番の不安は今の自分のコンディションがはたして良いのか悪いのか、僕にはいまひとつはっきりとコンディションの良し悪しがわからなかったのだ。なんとなく足は重く、身体がすっきりとしない。でも走ろうと思えば意外に走れてしまう。すごく体調が悪いわけでもない。かといって、身体がすごく軽いとうわけでもない。そんな状態が続いた。だから僕はランニングのことをあまり考えず、規則正しい生活をして、サラリーマンとして仕事に集中することにし、土曜日の朝、東京を発った。

 

昼の12時くらいに中之条駅に着き、駅前の食堂で昼食を食べ、13時半頃、受付会場の中之条体育館に到着した。弱い雨が降る中、バスから降り体育館の中に入り、ゼッケンの受取と必携品チェックをすませた。必携品のチェックは初めての体験ですこし戸惑ったが、係員が手際よく確認をしてくれた。体育館の出口付近で、当日の朝会場で受け取る予定になっている朝食の引き換え券をもらって体育館を出た。その後簡単なブリーフィングが行われ、いよいよだなと思った。

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中之条駅



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ブリーフイング会場

体育館を出てもまだ、雨はぱらぱらと降り続いていた。明日は止んでくれればいいなと思いつつ、これまでの人生で、良いことが起こった時は雨が多かったな。となぜか少し感傷的な気分になって、ホテル行きのバスに乗り込んだ。

 

バスがホテルの最寄りのバス停につき、歩いてホテルに向かいチェックインをすませ、部屋に入ると既に20代くらいの男性が一人いて、簡単な挨拶を交わした。彼は自分から積極的に話をするタイプではなかったが、僕が話しかけると気持ちいい笑顔で応えてくれた。考えてみれば、今までの人生の中で全くの他人と相部屋になり一晩を過ごすという経験はなく、また相部屋であることをチェックインの時まですっかりと忘れていたので、虚を衝かれたようなかたちにもなり不安になったが、その不安もすぐに安堵にかわった。僕は部屋の片隅に荷物を置き、翌日のレースの準備を簡単に済ませると、大浴場にいき湯船に浸かりながら、ぼけっと窓の外を眺めていた。

 

よくも72キロを走るためにわざわざ草津まできたもんだと思った。走る前の自分が知ったら驚くだろうな。お前は3年後、70キロを嬉々として走ることになるんだぞ、と。特急列車のなかで聞いたラジオの天気予報では晴れだった。怪我をしないように完走したい。ただ、それだけだ。

 

風呂から出て部屋にもどり、翌日のレースの準備をしてるいとまた一名、新たに部屋に入ってきた。40代くらいの男性で、関西弁で気さくに、挨拶をしてくれた。静岡県からの参加で、話を聞いてみるととトレラン歴はかなり長く、全国の大会に参加しているようだった。

 

その後、最初に部屋にいた男性と一緒に食堂に行き、食事をした。はじめはどこかぎこちない雰囲気があったが、次第に会話が弾み食事が終わった後も、トレイルランニングやマラソンの話をした。食事が終わっても会話は続き、僕はコーヒーをおかわりした。

 

トレイルランニングはまだまだ競技人口の少ないスポーツなので、情報を得るのが難しかったりするのだが、相部屋になることでコミュニケーションが生まれた。情報交換の場としてトレイルランの大会での相部屋は悪くないなと思った。相部屋になることで、レース前日にもかかわらず、しっかりと休めないのではないかと心配になったが、翌日は皆レースなので身体を休めたい気持ちは同じで、スタートの時間を考えると寝る時間もだいたい決まってくる。皆が普段の生活とは異なる生活になってしまうのであって、普段と違う状況でいかにコンディションを整えられるかも重要になってくる。

 

後から食事の予定になっていた40代の男性が食堂から帰ってくると、僕達、三人は8時くらいに消灯することに決め、それまでの時間を各々、寛いで過ご、8時になると電気を消した。まぶたを閉じたが、なかなか眠れなかった。それでも次第に睡魔がやってきた。旅の疲れもあったかもしれない。

 

明日は晴れて気温もあがるようだ、後半は脚がが動くのだろうか。動かないかもしれない。それでも、明日は誰よりもレースを楽しんでやろう。笑顔でゴールしよう。そんなことを考えながら、僕は眠りに落ちた。